昔々、あるところにダニエルという神様に非常に愛された人がいました。
ダニエルは正しい人で、悪い事はまったくしていなかったのですが、賢すぎたために人々の嫉妬を買い、無実の罪でライオンの穴の中に投げ入れられてしまいました。
王様は正しい人であるダニエルを愛していましたが、自分が作った法律を変えることが出来なかったため、ただ見守るしかありませんでした。
手足を縛られたままライオンの穴の中に放り込まれたダニエルは、激しい衝撃を覚悟しました。しかし、ダニエルが穴の底に体を打ち付ける前に、柔らかな毛皮が彼を受け止めてくれました。
実は人々がライオンだと思っていたのは、大型の猫だったのです。この国の人々はライオンを見たことがなかったので、ノルウェージャン・フォレスト・キャットをライオンと間違えてしまったのでした。
大の猫好きだったダニエルは大喜びをし、一晩中、猫と楽しく遊んで過ごしました。
翌日、王様は朝早く目覚めると、ライオンの穴を覗き込み、悲しそうに呼ばわりました。
「ダニエル、ダニエル、無事であるか?お前の神はお前を守ってくれたか?」
「はい、王様!王様のお蔭で、モフモフ三昧の素晴らしい夜を過ごすことができました。」
ダニエルの元気そうな声を聞いて、王様はほっと胸をなでおろしました。
ダニエルが嬉しそうにお礼を言うのを聞いて、人々は歯ぎしりをして悔しがりました。彼らは穴の中にいる動物の正体を確認しようと、一斉に穴に駆け寄りました。
するとその時です。神様が人々の足を滑らせたので、ダニエルを陥れようとした人々は全員、穴の中に落ちてしまいました。
穴の中にいた猫たちは、悪人たちが落ちてくるのを待ちきれず、彼らが穴の底に到達する前に飛びつきました。猫たちは彼らがダニエルと同じように遊んでくれると思ったのです。
しかし、これらの人々は全員、重度の猫アレルギーだったため、猫の毛を吸った途端、息ができなくなり、死んでしまいましたとさ。
めでたし、めでたし。
出典:旧約聖書 ダニエル書6章23~27節
旧約聖書には子供にも分かりやすいお話が幾つか含まれており、このお話もその一つです。
キリスト教圏では子供の道徳教育などにもよく使われています。絵本やアニメーションにもなっているので、興味のある方は是非、探してみてください。
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